あまりにも突然の出来事だった。痛さなんて感じられなかった。
…………
桜が咲き始める頃の晴天の下で卒業式は終わり、
いつもの仲間たち五人くらいで卒業パーティーをした。
ずっと昔から仲が良くて夜も昼もずっとはしゃぎまわった。
時には喧嘩をして時には泣いて時には励ましあい力を分け合った。
夜、それぞれが帰路に着くため話をしながら駅に向かっていた。
1人の仲間だけ、足が遅い。
メールをしながら歩いている。一番後ろにいたらしい。
あんな運命が迫り来ようとも知らずに。
ようやく駅に着く感じでそれは起きた。
横断歩道を仲間のうちの二人が歩いてる。
一番足の遅い彼は誰かにメールを送ろうとしているケータイをふと離し、目を前にやった。
彼は後ろからそれを見た。
明らかにふらついている自動車が減速もせずに走っている光景を。
それは刃のごとく先を光らせ容赦なく狂った刃物のように。
近づいてくる!危ない!
きっと彼はこう思ったろう。
とっさの行動だったと思う。
なんだか自分たちの名前を叫んで走ってくるかのような気配を感じた頃
私たちは背中を勢いよく押されて前に転げ落ちた。距離があった。