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バイト時代の。・・・10
   - 15/9/12(土) 0:11 -
遅くなってすみません。
コメントありがとうございます!
楽しんで読んでもらえてうれしいです!

続きです。

時間にしてほんの数十秒だっただろうか、
今思えば何分も経っていたかのように思えた。

(なんだ!?なんだこれ!?この展開ドラマでみたことあるぞ!え!?なんだこれ!)

冷静に上を見ていたが俺の頭の中はパンク寸前だった。
最初はきっと前みたいに飲みすぎたのだと思っていた。

晃一「こんなことして本当にすみませんなんですけど・・・」

腕にうずくまった状態で俺の耳元にしか聞こえないぐらいの声で晃一が言う。

俺「どうしたん。飲みすぎたか。」

晃一「酔いなんてとっくに覚めました。」

俺「・・・そっか」

晃一「・・・僕、来年1月にバイト辞めようと思ってるんです・・・。」

俺「え、・・・なんでって聞いたらマズい?」

晃一「いや、、、・・・最近、っていうかバイト入ってから好きな人できたんですけど、やっぱり駄目みたいですわ。」

俺「・・・フラれたんか。」

晃一「それが・・・僕にはわかんなくなっちゃいました・・・」

俺は声をかけることができなくなってしまった。晃一の声がだんだん震えてきているのが分かる。

晃一「駄目なんですよ僕・・・毎回好きになる人、間違えるんです。」

晃一「がんばっても肝心のところでいつもしくじっちゃうし・・・手を引っ張ろうと思ってもいつのまにか僕が気を使わせてるし。・・・」

一言一言間隔をあけて言うたびに、晃一は深呼吸をする。
いつしか俺は横にいる晃一のほうを見てじっと聞いていた。
暗闇にも目が慣れて、うずめた顔が離れて横で軽く俯く晃一の顔が見える。

晃一「友達とかにも相談してみるけど、それすらもちゃんといえなくて・・・もう、駄目ですわ。・・・僕。」

鼻をすする音が聞こえる。

晃一が泣いてる。

それを見て思わず自分の胸を押さえた。
心臓がチクチクし、息苦しく感じた。
目の裏が熱い。

俺「・・・そんなんでバイトやめるなよ。寂しいじゃんか。」

晃一の頭にてを乗せる。横になっているため、自然と腕で頭を包み込む形になる。

晃一「何でそんな事言うんですか・・・。フラれて嫌われて一緒の場所にいる自信が無いんです・・・。」

晃一「なので、もう僕・・・・ます、ね・・・?」

後半は泣き声で聞き取れなかった。
少しの間晃一の言葉が止まる。


晃一「ぼく・・・慧さんが・・・」


晃一「好きでした・・・・今まで、ありがとうございました・・・。」

晃一は搾り出すかのような弱弱しい声で言う。
その瞬間、俺の体中に電流が走ったような感覚に陥った。
それと同時にいままで晃一の気持ちにまったく気づことができなかった事の罪悪感で涙が出てきた。
俺は頭に乗せていた手をそのまま背中に回して晃一をぐっと引き寄せた。

俺「ごめんな・・・ほんとにごめんな。」

晃一「え、、、慧さ・・・ん?」

俺「その一言を言うことがどれだけつらいのか分かっているのに・・・、気づいてやれなくてほんとにごめん。」

晃一を抱きしめる手に力が入る。
涙が止まらない。

晃一「え、な、何言ってるんですか!?・・・え!?何で慧さんも泣いてるんですか?」

驚いた晃一が引き離れてこっちをじっと見る。

俺「年下に言わせるなんてホント、俺かっこ悪いな。」

晃一「どういうこと・・・?」

俺「俺は晃一以上に嫌われたくなかったって思ってたってこと!」

俺「後出しで卑怯だけど・・・」

俺「俺も・・・ずっと晃一のことが好きです。今もずっと。」

自分に似合わない台詞を言い終えた瞬間、体中が熱くなる。
それを勇気を出して言った晃一、どれだけ辛かったのだろう。

晃一「え、ええええっ!!」

晃一「嘘だ!何で・・・気を使ってくれてるんですよね!?すみません!」

晃一が目を丸くして見つめてきたと思うと、またぼろぼろと泣き始めた。
それを見て、たまらず俺は抱き寄せた。

俺「嘘じゃない」

目の前に見えるおでこにキスをした。

晃一「そんなぁ・・・こんなの、ずるいですよ・・・」

俺「ずるいと思ってる。分かってから言うなんて卑怯だよな。」

晃一「卑怯ですよ!嘘じゃないんですよね!?夢なんかじゃないんですよね!?」

体をずらし、小さい晃一と目線を合わせ、そのまま口にキスをした。

晃一「!?!?!」

俺「好きだった人に告白されてこんなに幸せだなんて、本当に夢かもしれないな。」

晃一「う、うわぁぁぁぁあん・・・」

晃一が泣き崩れるとそのまま優しく抱き寄せた。

俺「辛かっただろ・・・本当にごめんな。」

晃一の頭を撫でながら、俺はもう二度と晃一にこんな辛いことはさせないと心に誓った。

泣いていた晃一は泣き疲れてそのまま眠りについていた。

これほど夢なら覚めないでくれと思ったことはない。

気がつけば暗かった夜空にはもう、青みがかかっていた。

引用なし

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