クリスマスの夜。
彼は泣いた。
俺は 23歳の社会人。
工業系の会社に就職し、機械の部品などを作っている。
彼は高1。
名前は裕康。
160くらいで小柄。
付き合って一ヶ月。
まだキスまでしかしたことがなかった。
「初めてだから大切にしたい」と頬を赤く染めながら笑っていたのを覚えている。
そんな関係でも良かった。
ただ好きなだけで良かった。
11月の終わり頃。
「クリスマス、何がイイ?」と聞かれ、俺は「裕康が欲しい」と言った。
裕康は頬を赤らめて「もう一つ。形に残せる物で」と言ってきた。
だから「ペアリングとか?」と言った。
彼がいくら貯めていたのかは知らない。
だが彼は買えると思っていたのだろう。
「わかった」と言い微笑んだ。
会えない日が暫く続き、クリスマスになった。
初めての宿泊。
一緒にケーキを食べた。
さすがに風呂は一緒に入らなかったが。
「ほらプレゼント」
前から欲しがっていた服とアクセサリー。
安い物ではなかったが、社会人としては当然だろう。
「あ…ありがとう」
優しい笑顔を返してくれた。
俺はそれだけで満足だった。