その後何をしたのかはあまり覚えていない。
起こったことがあまりにも鮮烈すぎたから。
でも亮太は覚えてるだろうな。
まめな奴だから。
二人で校門まで歩いて、バスを待った。
バス通学の亮太がバスに乗ったのを確認した後
チャリ通のおれは校門の石畳に座り込みメールを打った。もう何を打ったかさえ覚えていない。
それぐらい無我夢中で自分の心の中を文字に変えた。
見直すこともなく送信。
ふう、とため息をついて辺りを見回せば
もう暗くなっていた。
どこかでパトカーが走り
どこからか焼き魚のにおいがした。
もうセミは鳴いていなかった。
返事が来たのは夜中だった。
一言
好き、付き合いたい
たかが携帯に表された文字に
こんなに喜んだのは生まれて初めてだったかもしれない。
これから先もないと思う。
死んでもいいと思った。
つづきます*