思っていたより幸せって
案外近くにあるものみたい
ある秋に入りかかった金曜日の夜。
その日は突然訪れた。
僕「おはよ〜。」
K「おはよっす、Hさん!」
僕「ってか、なんでいきなりバグな訳!?」
K「Hさん、昨日の○○見ました?めっちゃ面白かったですよね?」
僕「…。」
Kくんは僕の1つ下で大学生だった。
そして、いつもバグやらくすぐりやらと暇があればちょっかいを出してきて、僕の反応を楽しんでいたようだ。
しかし、なんでちょっかい出してくるのか聞いても必ず話題を反らす。
可愛い彼女がいるって言ってたし、仲良い人の話だと、滅茶苦茶お似合いで結婚するんじゃんみたいな話だったから、期待しないようにはしてたけど…。
K「Hさん、今日の仕事あと暇すか?」
僕「まぁ、明日は休みだから暇っちゃ暇だけど…。」
K「今夜仕事上がりにみんなでドライブ行く予定なんで一緒に行きません?」
僕「いきなりだなぁ。(彼氏に怒られるだろうけど、終電逃して飲んで帰るとでも言っとけばいっか)まぁ、いいよ。」
K「ホントっすか?仕事上がったら裏のコンビニで待っててくださいね!」
こうしてドライブに行くことに…。
しかし、待っていると来た車にいるのはKくん一人。
僕「??」
K「なんかみんな今日来れなくなっちゃったみたいです。」
僕「えっ?(これってもしかしてよくあるパターン?)」
K「二人でも行きます?」
僕「しょうがないかぁ。いこっか?もう帰れないし。」
K「よっしゃ!乗って下さい!」
こうして、ちょっぴり期待もしつつ、ドライブに出発!
車の中でバイトの愚痴やら大学の話、お互いの家族の話などたわいもない話をしていると、人気のない海に到着した。
そうそう、Kくんって、行動力あって、人の好きなものとかちゃんと覚えててくれちゃうしっかり者なんだよね(笑)。
僕「おぉ〜!海じゃん!」
K「Hさん、海好きって言ってたから〜。」
僕「ありがと〜!夜の海って怖いけど、神秘的だよねぇ〜。」
K「ですねぇ〜。」
…沈黙。
暫くぼーっと海を眺めて座っていた。
波の音って聴いてるだけで落ち着くなぁ…。
K「あのさ…。」
僕「ん?(なんでいきなりタメ語?)」
K「寒くないっすか?」
僕「だっ、だね(笑)。(なぁ〜んだ。期待しすぎかぁ)」
ってことで車に戻り、走り出すと眠くなってしまった僕はウトウト…。
K「Hさん、Hさん!」