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もどかしい１２

ゆう - 08/7/20(日) 14:38 -

続けて母親が
「△△君だよ。良かったねぇ、会いに来てくれたって！」
優しく語り掛けていた。

母親が言い終わると、視界の端でなにかが動いているのに気付いた。

貴方の手。
まるでなにかを探し回ってるみたいに…。

オレはその手をすぐに握った。温かい…。生を感じた。

「オレ！雄平だよ。わかる？わかる！？」

手…。握り返してくれてる。

「わかる！？会いに来た！」

また。手に力が込もる。オレもしっかりと握り返す。

涙が出そうになった。オレのことわかってくれてる。

この時はただ、[生きてくれている]ってことだけが嬉しかった。

[好きな人と手を繋いでいる]、そんなことは考えられる状況じゃない。

母親はただ驚いていた。
「昨日までこんなに手を動かすことなんてなかったのに…」って。

オレに続いて先生も話し掛けて…泣きそうな顔になってた。

居た時間のわりに話という話はできなかった。まだ現実なのかどうかが曖昧だった。

最後に「またね！」って手を握り合う。貴方のほうを見て病室を後にする。

「また来てね！尚哉喜ぶから！」明るく振る舞う母親からは、振る舞いとは逆のなにかが感じられた。