お魚加えるくらいなら、かわいいもんさ、裸足で追っかけてやるよ
だけど、この猫は彼氏持ちの男に惚れ込んじまったって話
出会ったのは合コン会場。まだ梅雨の名残で、水溜まりが残っていた夜。
酒もいい具合にまわって、クラブミュージックが流れる店内の雰囲気でキマッて、合コンどころじゃなかっけど、お前のことだけは頭から離れなかった。
だからさ、また会えた夜は跳び上がって喜んだんだ。
弾みすぎてその日のうちに告白なんて展開さ、
飯作って、のんびりDVD観たりして過ごしだけだったけど、すっげぇ嬉しかった。背中に感じる体温と、甘い女ものの香水が染み込んだ腕で包まれて、洋画の内容なんてほとんど覚えちゃいない。もう、頭ん中は愛の言葉を選ぶので必死。結局、口をついて出たのは
「付き合ってください!」なんて、大根な台詞
だけど、
「俺、3年付き合ってる彼氏おんねん」
って言われた時は吉本顔負けのリアクションしてしもうたわ。
なんつーかさ、
俺もう完全に惚れてんだけど、
どうすんだよ
それからも、毎週、関西弁は友人って体裁でうちに泊まりに来るようになったんだが、
義憤と純情で、悩まされる日々だった。
ちょっとずつ増えてく私物となにかと彼氏との話をするお前に挟まれて、
甘い残り香のする布団で寝る一人の夜がつらすぎた。
いっそ、俺んとこきちまえよって思ったし、泥棒猫と呼ばれようが略奪愛しかない!なんて血迷ったけどさ、
謀ることも二人の幸せを願えることもできない、へっぽこだったよ。
冷たい北風が葉に色を着ける頃には俺らの関係も4ヶ月目だったな。
俺の誕生日も丁度その頃で、あの曲を聞かしてくれたのも丁度その頃。
誕生日にかぶったのはいけすかなかったけど、あの曲のおかげで、へっぴり腰もしゃんと芯通せたんだ。
【WAIT FOR YOU】
二人に幸せになって欲しいなんて、まだ心から思えないけど、お前には幸せになってもらいたい
まだ、街中であの甘い女物の香水を嗅ぐと振り返りそうになるけど、
そんな時は
あの歌を口ずさんでいます
たまに振り返るのもわるくないけどよ(^皿^)