学校がないと、必然的に起床も遅い。
形だけテニス部に所属しているものの、
めっきり幽霊部員なおれ。
大会どころか、練習さえ出たことさえない。
三年のくせに後輩の顔さえ分からない。
強制的に購入させられたテニス部オリジナルTシャツは
すぐにパジャマへと成り果てた。
暇すぎてごろごろ布団の上でのた打ち回っていると、
亮太からメールが来た。
亮太というのは、クラスメイトでおれの彼氏で、
なんというか、奇妙な奴だ。
顔もルックスも身長も明らかに平均以下。
なのに入学当初から亮太の周りには女子が群れていた。
中学の頃から【ゲイ】を自覚していたおれはなんとも思わなかったけど
周りの男子はひどく不快だったに違いない。
1年生の6月初めには、亮太に対する陰湿ないじめが始まった。
言っておくがおれは加害者を誰一人知らない。
最近テレビなどでよくいじめの話が取り上げられるが、
現場、学校で起こっているいじめは
もっとシステムめいていて、主犯格が見えなくて
疑い始めたらきりがないようなものだ。
今隣の席で笑いかけてきた奴が主犯格かもしれない。
それがいまのいじめだ。