その日の夜、俺はケータイを握っていた。画面にはO宛にこう書かれている。
「今チャリ通じゃなかったら、一緒に学校行かねーか?」
返信が来る間俺には不安という黒い影が覆っていた。
ブルルルルルルッ、ケータイ振動する。俺は目をつぶってケータイを開ける。
「ああ、いいぜ。10月までだけどな。」
俺は心が落ち着きメールを返す。
「じゃあ、俺が改札のところで待ってるから。」
「おう!!」
ケータイを閉じると、俺は何だか嬉しくなった。このとき自分の気持ちには気づいてたかもしれない。だが、俺は単に一人での登校がつまらなかったのかもしれない。
こうして、俺とOは一緒に学校に行くこととなった。だからといって何が変わるかというと、前と変わらずに何気ない話をしているだけだ。ただ、俺はこの時間がとても大切に思えてならなかった。Oのいろいろな面が見えてくる。ほんとに明るいところ、誰にでも気軽に話しているところ、おもしろい突っ込み、そしてネガティブ思考があるところ。こういった中で、俺はOの笑顔が一番好きだった。いつでも笑顔を絶やさない。やさしく微笑みかけてくる。まるで暖かい日差しのように。俺はこいつと一緒にいたいと思った。俺もこいつに何かしてやりたいと思った。この時になって、俺はOのことが好きだとわかったのだ。