ある寒かった夜のこと。
僕は一人、最寄の駅から自宅へ帰る途中に声をかけれらた。
振り返ると、そこには同級生の弟さんがたっている。
「なんですか?」
「あの・・」
「はぁ・・・??」
「話したいことがあるんですけど、今いいですか?」
突然のことに驚いたが、知らない人でもないからOKして僕らは近くの公園に行く
ことにした。少し間をあけてベンチに座ると、彼はうつむきなんだか緊張した感じでいっこうに話が始まらない。
「ところで話って?」
僕から切り出した。
「実は・・。その・・。俺のことは知ってますか?」
「え?・・あ。もちろん知ってるよ。○○の弟さんでしょ?」
「あ、はい。」
またしばらく沈黙が続いた。
「今から話すことは誰にもいわないでくれますか?」
「俺、友達いないから誰にもいえないよ(苦笑)」
少し笑った彼がかわいかった。
「実は、俺・・ずっとNくんのことが気になってました。・・好きです。」
あまりにも突然の告白にいっきに僕の心臓はその鼓動を加速していった。
「ホントに?冗談じゃなくて?」
「本気です。っていやですよね。男に告白されて、困りますよね。」
「そんなことないよ。うれしいよ。・・・君はゲイなの?」
少し間をおいてから僕の質問に「はい」と答えた。
意を決して自分に告白をしてくれている彼に、自分もゲイであるといわないと失礼
だと感じた僕は、自分も同じだと伝えた。
「知ってました・・。うわさで知ったので。」
「え!?うわさ?そんなうわさが流れてるの?」
「はい。俺の知り合いから聞きました。ホモらしいよって。」
「・・まぁ、どーでもいいか。事実だしw」
「そのうわさ聞いたから告白しようと思って」
「いつから俺のことを意識してくれたの?」
「意識したのは、中3の頃です。」
僕は彼の答えに耳を疑った。
「覚えてないかもしれないんですけど、中3の頃、よく道ですれ違ってて、そのときから気になってました。」
「そんな昔からですか?」
驚きのあまりつい敬語になってしまった僕をみて彼はまた少し笑った。
「最近もたまにコンビニで会ったじゃないですか。覚えてますか?」
「覚えてるよ。・・・実は、俺も気になってたから。」
「それは○○の弟としてですよね?」
「それもあるけど、かわいいなって思ってたよ。正直にいってタイプだからさw」
顔を下にむけて少し笑った彼が、すごく愛おしく思える。
「コンビニであったときは、どうしたら声をかけられるかってずっと考えてて。いきなり話かけたら困るだろうし、変に思われてもいやだし。兄貴に言われたらもっといやだなって。」
僕がゲイだというウワサがきっかけで彼は僕に告白してきてくれた。
きっかけがどうでも彼の気持ちが嬉しくて、その日はすごく寒かったけど、
今までで一番暖かい日になって、一生忘れない思い出になりました。
誰もいない薄暗い道を、夜、少しだけだけど手をつないで歩いたのは人生で
初めてだった。