一つの大切な物が突然大きな音を立てて崩れ去った。昨日までごく普通に合ったそれは、いつの間にか心の中でどんどん成長し、俺の体を蝕み、もうそれなしでは生きていられない状態にしてしまった。そして、それが唐突に崩れ去った今、不思議と俺の心は満たされていた。それからによる開放感と不安と悲しみと、全てが混ざり合って俺の心は一種の麻薬に取り付かれたのかもしれない。この麻薬は依存はしないが、一度味わってしまったらなかなか抜け出せない。今の俺がまさにそう。体が熱くて、どんどんと涙がこぼれ落ちる。何も感じないのに、ただただ涙が落ちる。あれは一体何だったのだろうか。それに蝕まれていた時の幸福感。毎日のときめき。嫉妬、今となっては全てが信じられない。長い夢をみていたのだろうか。でも、心には激しい痛みが焼き付いている。それは俺に何を残してくれたのだろうか。俺はときどき考える。それが心の中に合ったときは、毎日が幸せだった。人間関係でつらいときも、テストの点が悪かったときも、それを考えるだけで全てのもやもやが無くなった。でも、今は違う。それは無くなってしまった。恐い。明日からが恐い。それを失った自分は、それを知る以前のように生きられるのだ