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8万キロとは僕とあきらが車で旅した推定距離のこと。
高校生の頃僕は、自分に自信がなくて、いつも誰かの目を気にして生きてた。だけど、あきらはそんな僕を本気で変えてくれた人生の師だ。そして、世界で一番大切な人だ。そんな僕とあきらの旅のお話です。
あきらと出会ったのは大学に入ってすぐの事。あきらは同じ一年生だったのに、もう先輩たちと仲良しで、サークルの勧誘活動にも参加していた。僕は友達と一緒にサークル説明会に足を運んだ。そしてその足であきらと同じサークルに入った。
生涯学習のサークルで、活動は一般の人にパソコンを教えたり、セミナーを開催したりするもの。僕はパソコンには興味がなかったので福祉セミナーの部で活動をした。
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あきらは、僕とは対象的な人間で、気さくで頼れて、明るくて、そして何故か不思議な一面をもつ存在だった。僕はと言えば、何の取り柄もなく、ただ毎日を無駄に生活しているだけの、普通の大学生。一年の六月に車を買った僕は(今思うと早すぎる)あきらを誘っていろんなところへ旅をした。旅と言ってもホテルなどには泊まらず、毎回高速のサービスインターや道の駅、スーパーの駐車場で車内泊をしたり、ファミレスで朝がくるのを待ったりと、結構過酷な旅だった様に思える。しかもほとんどの場合、目的地は決めないし、あっても曖昧なポイントだけで、ほとんど二人で夜通し話がしたいからただひたすら日本中を走り回ったんだと思う。
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「ごめん、眠くなっちゃった…30分だけ寝るね」いつも運転は僕の仕事だから、時々あきらは隣で寝る。この頃になると二人ともサークルを辞めて、それぞれ別の活動を始めていた。あきらは前日までサークルの合宿で、かなり疲れていたはずなのに、僕を気遣って寝ないようにしていたが、さすがに睡魔にはかなわなかったらしい。それから2時間が経ったころ「何分寝た?」ってあきらが聞いたから僕は「15分だよ」って答えた。ほかの友達なら怒ってたたき起こすのに、あきらの事は不思議と大切にしていた。今思えば車旅を始めたころから、僕はあきらを好きだったのかもしれない。
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今僕は大学2年(半年休学したので本当なら3年)で、大学以外でも任意団体の責任者をしている。団体の活動が忙しい時期は、まったく休みがない。日本中の誰かの為に役に立つならば、どこへでも駆けつけるつもりだから、お呼びがあれば即出動だった。
結論から言うと、僕はあきらと縁を切った。これは彼の幸せを守る為。
団体のほとんどの人が、僕がゲイだって事は理解してて、だからじゃないけど、あきらには嘘を付きたくなくて本当の事を話したんだ。あれから半年、全く連絡がなく、時々会ってもおびえるような目で僕を見るから…。僕はあきらの視界に入っちゃいけないんだって思った。あんなに仲良しだったのに、僕がゲイだって事だけで彼と僕の関係は終わってしまった。だけど、あきらは何も悪くないから、きっと僕の伝えか方とかいろんな要因が重なって、僕を受け入れることが出来なかったんだと思う。だから、後悔はしてないし、今でもあきらが幸せになると良いなーって祈ってる。ただそれだけの事しか出来ないけど…ここには書かないけど、タイトル通り彼は人生の師匠だったと思う。ダメダメな僕を心から叱ってくれた、喧嘩もたくさんした、たくさん話した、誰にも教えて貰えなかった事を教えてくれた。彼はそんなつもりじゃなかったかもしれないけど、僕は感謝してる。「人は出会うべくして出会う事、そして誰かを幸せにする為に必死になる事」あきらと僕の8万キロの旅は終わっちゃったけど、僕はこれからも誰かを幸せにする為に生きると思う。この場を借りて感謝を告げます。今まで本当にありがとう。そしてごめんね…。あきらが幸せになりますように。みんなが幸せになりますように。
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