きょうの朝、二日前から始めたボージョヴォー人形へ願いを込めた。
『“あいつ”に会えます様に…』
信じるものは救われる、そう信じて。
俺とあいつは去年出会った。俺より一個下でとりあえず第一印象は男前!
性格は俺にキツイしヒトノ話は聞かないし、結構最低な奴、でも人懐っこくてかわいい奴でもある。
何か言いたいけど相手が相手であるがゆえ
時は流れ四月。
俺とあいつは違う大学に進学した。
寂しかった。ずっと泣いていた。あの週は雨がずーっと続いてたっけ。
俺はこいつに何か言いたかった。好き、なんて言えないけど有難うが言いたかった。
でも俺はこいつに会うチャンスを逃した、捨てた。
誘いを断った、最後のお別れ会の。
会いたくなかった。笑顔で、ばいばい、また、なんて言えなかった。
結局会えぬまま、四月を迎え俺は二浪を決めた。
勉強しながらも気になるあいつの事。
メールを送った、有難う、と。
『頑張れ!応援してるよ』って帰ってきた。
最後な気がした。
もう会う事はないって、気がした。
そして、きょう、会ってしまった。
ボージョボー人形のお陰?いや偶然だろう。
東京にいるはずのあいつは偶然、横須賀に帰ってきていた。
泣きそうだった。
でもあいつはいつも通りの声で、あの懐かしい声で
『おう!何してんの?』だった。
答えられなかった、すると何もなく自転車で去っていった。
最後のチャンスだったかもしれないのに、泣きそうでつらくて、どうにかなりそうだった。
もう同じ会社で働くことも同じ大学にいくこともない。
ただの知り合いになる事が怖くて寂しい。